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【絵本】ぐん太~ひたすらに強くなりたかった男の物語

ぐん太

夢枕獏・文
飯野和好・絵
2021年3月6日 初版第1刷発行
小学館

ある一人の男の生涯を描いた物語。
今まで誰も成し得なかったことに果敢に挑むぐん太
おれは強くなる
強くなるための道のりは途方もなく長い
体がでかくなっても、巨大な山を投げ飛ばすことができるようになっても
まだ たりない

どうして彼はそんなに強くなりたいのか?

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ぐん太~ひたすらに強くなりたかった男の物語 

ストーリ

夜なき石という大きな石があった。

その石は
ぐももももももーん
ずむむむもももーん
おおおーん
と声をあげてなく
その石があるせいで、そこは草も気も生えなければ花もさかない、けものもいない荒地。

むかしからその石をどけようとして、何人もの力自慢が持ち上げようとしたけれど、
みんな力つきて 石の下じきになってしまった
だから、あの声の中には 彼らの声もまじっている

ならば おれが だれよりも強くなって 
だれよりもでっかくなって 
あの石をもちげてやらあ

ぐん太の修行が始まる
毎日、毎日、岩を持ち上げる
山を投げ飛ばす
旅に出て力くらべをしても負けない
ところが
大きくなっても、
力が強くなっても
ぐん太は石にかなわない
なぜ?
ぐん太はこんなに強くなったのに、
まだ足りないものってなに?

感想

力が強い、意志が強い、打たれ強い、頭脳明晰、知識が豊富、…
「強い」にはたくさんの意味がある。
その中でも、ぐん太が追い求めた強さはトレーニングだけではとうてい身につかない奥の深いものだった。
強くなるための修行の道のりは長く果てしない、
毎日、毎日、思い岩を持ち上げる
山を投げ飛ばせるようにもなった。
でもまだ足りない。
あきらめるとという言葉を知らないのか?
と思うほど、黙々と修行に励むぐん太。
さらに辛い修行は続く
しかし、どんな目にあおうとも、前に進むぐん太の姿が清々しい。

飯野和好氏の絵はものすごい力でせまってくる。
ぐん太の強さとやさしさ、そして悲しみも深く描き出していて、心が引き込まれる。
強さ、強くなる、ということはどういうことなのか?
ぐん太は教えてくれる。
ぐん太、すごいなあ。
子どもも大人もびっくりする。
でも、
ここだけのはなし
大人の読者は、この作品のより深いところまでわかる。
年を重ねたからこそわかることがたくさん詰まっている。
そうだよな、そうなんだよな。と。


強くなること、その言葉の中にある深い思いが胸にずんとくる作品。


「ぐん太」は、私の心の中で、
この30年間ずっと育ててきた物語です。
世界再生の神話のような物語をと
意識して書き上げました。
それに飯野さんが
凄い絵を描いてくださいました。
どうかこの物語が
新しい神話となりますように   夢枕獏

カバー(裏表紙)より引用

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