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【絵本】『名前のない人』~彼はいったいだれ? 

この絵本、はじめは少し「怖い」と感じるかもしれません。

読み始めてすぐ、人が車にぶつかって倒れてしまう場面がでてくるから。

その人は、すぐに起き上がったものの、自分がだれなのかわからず、話すこともできない、

いったいどこからきてどんなことをしている人か、いい人か悪いなのか

さっぱりわからないからです。

そんな不思議な主人公・彼を描いた絵本『名前のない人』を紹介します。

名前のない人 
The Stranger

C.V.オールズバーグ 絵と文
村上春樹 訳
河出書房新社

じつは、このミステリアスな絵本、子どもたちにはとても人気があります。

彼がいったい誰なのか、言葉や絵のなかからヒントを見つけ出し、想像をふくらませていくのが面白いのです。

言葉の意味が理解できる年なら年齢を問わず楽しめる本です

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名前のない人はいったいだれ? ~ 謎を解くカギ

彼=名前のない人との出会い

夏から秋へと移り変わって、涼しいそよ風がさっと頬をなでる頃

お百姓さんのベイリーさんの運転していた車が何かにぶつかる

鹿かと思ったら男の人だった

ベイリーさんが自分のうちに彼を連れて帰る

彼の様子はどんなふう?

不思議な服を着ていた

ざらっとした皮の服

何かをたずねられても、何を言われているのか全然わからないみたい

たぶん口がきけない

お医者さんは3日もたてば治るだろう、っていったけど、なおらない

ベイリーさんにシャツを借りた男は、ボタンの止め方もわからないみたい

温かい食事から立ち上る湯気を見てびっくりしているみたい

男はケイティーの真似をしてスープをそっとふいて冷ました。

かわったこと、不思議なできごと

彼が熱いスープをふっと吹いた時、ベイリーさんの奥さんはぶるっと身震いして「うう、寒い、今夜はどこからかすきまかぜがはいってくるようね」 といった

庭にいる兎は男の人が近づいてもにげない(いつもは逃げるのに) それどころか男の方へぴょんぴょん跳んで近寄ってきた

男に抱き上げられてなでられても兎は平気

兎は向こうに行く途中「あれ、どうして僕たちといっしょに来ないの」って素振りで男を振り向いた

男はベイリーさんを手伝って、干し草集めの仕事をしたのだが、ベイリーさんは休憩しなくてはいけなかったけど 男は疲れをまったくしらないようで汗さえかかなかった

ケイティー(ベイリーさんの娘)と並んで夕日を見ていたとき、空のずっとむこうをV字の形をして飛んでいくガンの群れを、催眠術をかけられたみたいにじいっと見上げていた。

何かに気づいた? ふしぎなお別れ

3週間たっても記憶は戻らない

秋はすぐそこまで来ているようなのに季節の移り変わりがぱったりとまってしまったみたい、まだ夏の陽気がつづいているて、木の葉も3週間前と同じように緑のままだった

男は遠くの方に見える樹々は赤やオレンジに色づいているのに、南の方はベイリー家の周りと同じように木の葉が緑のままなのをみて面食らった

男の目にはいつまでも緑色の樹々が見苦しくみっともないものに映った 

なぜか分からないがここには何か大変な間違いがあるぞと感じてしまい、混乱する。

一本の木に駆け寄って葉っぱを一枚ちぎってふうっと思いきり息を吹きかけた後

ハッとした顏 

彼が手に持っている葉っぱが赤くなっていた

その日、男は古い皮の服を着て現れ、目には涙。みんなをいっしょにぎゅっと抱きしめ、ドアから外に駆け出して行った。

みんなは手を振ろうと急いで家の外に出たけれど、男の姿はどこにもなかった

あたりの空気はひんやりとして、まわりの樹々はもう緑色ではなかった

ベイリーさんの農場では毎年秋になると北の方で木の葉が色づいたあと、ベイリーさんの周りの木の葉だけは一週間ばかり緑のままで、そのあと、一夜にしてあざやかな色にそまる。

家の窓におりた霜の上にある文字が書かれていた

感想

ことばの中にヒントがかくれています。

絵をじっくりながめていると気づくことがいろいろと出てきます。

名前のない人は、

きっと〇〇なんだろうな~

それぞれがいろんな答えにたどり着くはず。

そしてどれもがきっと正解。

色彩豊かなパステル画は透明感があってとても美しい。

絵の中の風やを感じることができます。

ふわっと漂ってくるスープの白く温かい湯気

ピアノのやバイオリンの音色、

床を踏み鳴らすステップの音、

楽しそうな笑い声

爽やかな風、冷たい風、暖かい陽気、カサカサと木々の葉が擦れる音、

一枚一枚の絵から感じ取るものは、きっと人それぞれでしょう、

そしてそれを受け取ったとき、

私たちは心豊かなとってもいい気分になれます。

読み返すたびに、あれ?もしかしてこれは?

そんな発見が楽しめる作品です。

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